ココナッツオイルは悪玉コレステロールを増加し、心血管疾患を増加させるのか?

Circulation. 2020;141:803–814

このようなココナッツオイルがLDLコレステロールを増加させる記事が拡散され、一部で「身体に悪い」というレッテルが貼られています。

 

このような情報の一部分を切り抜いて考えてはいけません^^;

ココナッツオイルの過剰摂取はコレステロール値が増えるのは当たり前ですし、摂り過ぎると身体に悪いのも当たり前。
そしてLDLコレステロールが上がるのは脂質の摂取だけが原因ではありません。

しっかり論文を読み込んで情報を紐解きましょう!

 

この論文では、
ココナッツオイルは飽和脂肪酸が多い
→飽和脂肪酸はLDLコレステロールを上げる
→LDLコレステロールが高ければ心血管リスクが上がる

と説明しています。

 

多数の論文を使用したメタアナリシスになっていますが穴も多いです。

一つ一つ解説します!

 

ココナッツオイルの脂肪酸組成

飽和脂肪酸で90%以上構成されている油であり、中でも中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸が多い構造となっています。

とりあえず、ココナッツオイルは飽和脂肪酸が多いことは間違いありません。

 

LDLコレステロールが上がる理由

飽和脂肪酸は身体に脂肪やコレステロールとして合成しやすく、コレステロールの数値は上げやすいと言えます。

しかし、余程過剰に摂取しないとコレステロールは上がりません。

 

今回の飽和脂肪酸によってコレステロールが上昇したとする論文ですが、ほとんど脂質の過剰摂取が原因です。

「飽和脂肪酸の摂取量が明らかに多く摂取しており、全体的な脂質の摂取量も過剰している状態」でした。

※複数の論文データのまとめ(上記論文から辿れば出てきます)

どの報告でも脂質を摂り過ぎです。全体のエネルギー比を見ても30%超えているものがほとんどで、飽和脂肪酸に関してもエネルギーの10〜20%程度を占めています。

 

これではLDLコレステロールが上がるの当たり前です^^;
(脂質はそもそもコレステロールになりやすいし、甲状腺機能低下させてコレステロールを余らせやすいから。※ただ原因はそれだけではありません)

The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 89, Issue 5, May 2009, Pages 1425–1432
N Engl J Med 1997; 337:1491-1499

 

このような結果が、
飽和脂肪酸はLDLコレステロールを上げる
→飽和脂肪酸が多いココナッツオイルは危険

と安易に考えてしまうのがとても怖いですね^^;

 

脂質全体の摂り過ぎ飽和脂肪酸の摂り過ぎが問題なのであって、ココナッツオイルを適量摂取する程度であれば全く問題ありません。
(例:たまに炒め物や揚げ物をココナッツオイルで調理する程度)

 

ちなみにですが、多価不飽和脂肪酸(PUFA)は脂肪やコレステロールなどを合成しにくいです。酸化しやすい性質を持っているため、大量に蓄積することで過酸化脂質となり身体にダメージとなります。(※適量は問題ありません)
PUFAが多い食事をすると、身体に蓄積しないようにエネルギーとしてすぐに消費しようとしますので、コレステロールの数値は下がりやすいです。(他にも理由はあります)
※PUFAは解糖系をブロックし、一気に脂質を燃焼させようとします(ランドルサイクル)
飽和脂肪酸の多い食事からPUFAの多い食事に変えたらLDLコレステロールは下がりますけど当たり前の話ですよ^^;しかもそれは健康的ではありません。

ヒトの身体の脂肪酸組成を見ても一目瞭然です。

ヒトは酸化しやすい油をなるべく溜め込まないように反応します。しかし、現代人はそのような防御機構があるにも関わらず、食べすぎによって蓄積してしまっていますが^^;

 

普段バランスの良い食事を摂っている方は、多少ココナッツオイルを使ってもコレステロールを上げることにはなりませんので安心して下さい。

そしてコレステロールが上がったとして、身体にとって悪影響になるかどうかは全く別の話です。

 

LDLコレステロールは身体にとって必要不可欠の重要な物質ですし、この数値が上がったからといって病気に直結するわけではありません。

ココナッツオイルの摂取と心血管疾患には関連性がない

ココナッツオイルを毎日大量の消費する人種がいます。

プカプカ人・トケラウ人は主にココナッツを主食としていますが、心血管疾患は稀であることがわかっています。

そしてトケラウ人が飽和脂肪酸の摂取量が少ない食事をした場合、かえってLDLコレステロールが高くなりHDLコレステロールが下がったことも報告されています。

Am J Clin Nutr1981; 34:1552–1561.
J Chronic Dis1981; 34:45–55.

 

コレステロール値は様々な要因によって制御されており、飽和脂肪酸だけの原因ではないことがわかりますね。

 

LDLコレステロールが上昇することは悪いことか?

LDLコレステロールは重要な物質です。検査数値で言うと100〜140mg/dl程度は必要があります。(他の検査数値によっても変わりますが)
かえって低い方が問題になる場合があります。

 

コレステロールはヒトの身体に存在する脂質の一つで、胆汁酸の材料・細胞膜の材料・ホルモンの材料など、重要な役割を担っています。

とりあえず下げればいいものでもありません

 

そしてLDLコレステロールの上昇は、ただ単に飽和脂肪酸の摂り過ぎという話では解決しません。様々な要因が複雑に絡んでいます。

様々な要因がある中で、大きな影響を及ぼすのが甲状腺機能です。

 

LDLコレステロールが増えるということは、各組織でコレステロールが正常に利用できていないということです。
【必要量が少なくなっている・利用できない=代謝低下】

甲状腺は代謝に大きく関係しているので、LDLコレステロール増加の原因になります。

 

LDLコレステロールを正常化させるには、甲状腺機能やその他の根本的な解決が必要になります。
第一選択として「飽和脂肪酸の摂取量を減らす」ではありません。
※脂肪の摂取過剰が影響しているのであれば減らす必要があります

 

飽和脂肪酸を多く摂っていてもLDLコレステロールの数値が正常な人は五万といます。

何が根本原因か考えることが必要です。

 

飽和脂肪酸によって心疾患リスクを上げる理論の崩壊

1980年くらいよりマクガバン報告を皮切りに飽和脂肪酸を悪玉とする報告が増えました。これはシードオイル産業との絡みが強くあります。

しかし最近は、飽和脂肪酸を摂取しても心血管疾患・脳卒中疾患と関連がなかったとされる報告が多くなっています。

 

・飽和脂肪酸摂取量と心筋梗塞罹患との間に強い関連が認められない。
・乳製品由来の飽和脂肪酸摂取は心血管疾患を予防するが、肉由来の飽和脂肪酸摂取は心血管疾患のリスクとなっている。
・「赤肉」の摂取量ではなく、加工肉に含まれている【ナトリウム】や【硝酸塩】、【その他の栄養素】が心血管リスクに影響している可能性。
・乳製品最大摂取群は最小摂取群に比較し、脳出血の相対危険は 0.75 に減少した。

Food Nutr Res 2013; 57.
Am J Clin Nutr 2010 ; 92: 759─65
Lancet 2014; 383: 146─55.
Am J Clin Nutr 2012; 96: 397─404.
Circulation 2010;121:2271–83
J Nutr Sci Vitaminol(Tokyo) 2011 ; 57: 383─93.

 

従来の定説とは真逆の報告も数多くされています。

そして同じ飽和脂肪酸でも、「肉」の飽和脂肪酸と「乳製品」の飽和脂肪酸では結果が変わったこともわかっています。

 

飽和脂肪酸を多く摂取するということは、人によっては加工肉に含まれている【硝酸塩】や【その他栄養素】を摂取ことにもなりますし、オメガ6を多く摂取することにもなります。全体の脂肪摂取量も増加しますね。

複数の要因が絡んでいる可能性があり、飽和脂肪酸の摂取量が増えたから悪影響を起こしたと断定できる論文は一つもありません。

このように【疫学調査】では正確な答えを導き出すことはできません。

 

様々な影響を考慮して物事を俯瞰することが大事です。

人類史・論文を見る限りでも、飽和脂肪酸は過剰摂取しなければ問題ありません。

 

まとめ

ココナッツオイルを摂取すると心血管リスクが上がるというのは報告されていません。

飽和脂肪酸を摂取するとLDLコレステロールが上がるという報告があるため、今回のような報告が上がっています。

 

しかし中身を開けてみると、
「脂質の過剰摂取」「飽和脂肪酸の過剰摂取」による結論であり、日常生活で炒め物・揚げ物で使う程度のココナッツオイルの影響を示すものではありません。
※「脂質の過剰摂取」「飽和脂肪酸」を過剰摂取している人は気をつけて下さい。

 

そしてLDLコレステロールが上昇するのは、飽和脂肪酸の摂取量が増えたから上がるという短絡的なものではありません。様々な要因が絡んでいます。

それを解決しなければ根本的な解決になりません。

 

ココナッツオイルの使い方

現代人は脂質を摂りすぎです。
まずは炒め物・揚げ物・加工食品を減らし、脂質の摂取量を減らす必要があります。

 

しかし、炒め物・揚げ物を0にすることは現実的ではありません。
私のうちでも週に1〜2回は炒め物・揚げ物をします。

その際にココナッツオイルはとても万能です^ ^飽和脂肪酸が多いので、熱を加えても酸化しにくいというメリットがあります。

 

油を選ぶ点で一番重要視すべき点は「酸化しやすいかどうか」です!

「この油は原材料にこだわってて…」
「昔ながらの製法で…」
「ビタミン・ミネラルが含まれてて…」

もちろん質も大事ですが、「酸化のしにくさ」を重要視しましょう!
現代人の血液の中は酸化した油(過酸化脂質:MDA)まみれなので^^;

 

ただ忘れないで欲しいのが、【本来脂質は自然の食材から摂る】ことが理想的です。

 

肉、魚、卵、大豆、牛乳、野菜(少量入っている)、その他

自然の食材から摂取することで理想の摂取量になります。
「脂質は油から摂る」という考えはやめましょう!

お読み頂きありがとうございました^ ^

 

 

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