牛乳の善悪論に終止符を打つ

牛乳

牛乳は【カラダに良い・悪い】と論争があることをご存知でしょうか?
栄養について勉強する上でこの話題は避けては通れません。

牛乳についてはかなり調べましたので、私の意見をお伝えしたいと思います!

 

まず一般的な情報だと【牛乳はカルシウムなどの栄養が豊富!毎日飲みましょう】が定説です。

しかし最近は否定的な意見が多いです。様々な書籍で牛乳を否定しているものが多くなっています。

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これらの書籍を読んだ方は、そのまま鵜呑みにして【牛乳=身体に悪い】と思ってしまっている方も多いと思います。

これらに書いてある情報は不十分な点が多く、間違いも多々あります。これを一つ一つ解説していきますので、最後までお読みいただければ幸いです。

 

まずはじめに、私の意見を述べておきます。

牛乳は栄養豊富で現代人が不足している栄養素が多く含まれているので、適度に飲んだ方が良い。
しかし胃腸機能が低下している方はうまく吸収できずに、身体に悪影響を与える可能性がある。その場合は改善するまで控えた方が良い。
さらに牛乳は品質によっても身体への影響は異なるため、質が良いものを選ぶ必要がある。
と考えております。

では一つずつ解説していきます。

 

牛乳が身体に悪いとされている理由

・ホルモン剤の影響
・抗生物質の影響
・乳糖不耐症
・カルシウム、マグネシウムバランス
・リンの過剰摂取
・牛乳は本来人間が飲むようにできていない
・IGF-1の影響
・エストロゲンの影響
・カゼインの影響
・ホモジナイズ
・超高温殺菌

ホルモン剤、抗生物質の影響

牛の成長を早くするために「ホルモン剤」や「抗生物質」が使用されており、その影響がヒトにもあるのではないかと言われています。

確かにそのような報告は多数あります。しかし全て海外の研究論文です

海外では成長ホルモン剤を使用して育てられますが、日本では認められていません。そして抗生物質についても厳しい基準があります。

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抗生物質に関しては乳房炎の治療のため使われることはありますが、抗生物質が消失するまで出荷できないようになっています。
日本乳牛協会ホームページでもしっかりと抗生物質の混入を否定していますし、数値でも証拠を提示しているので日本では心配はありません。

 

乳糖不耐症について

「アジア人は牛乳に入っている【乳糖】を分解する酵素が遺伝的に少ないから下痢しやすい」「体質的に牛乳は合っていない」と言われています。

日本人の人口の95%は乳糖不耐症と言われています。しかし、症状が全くない方も存在します。
牛乳を1日に4〜5ℓ飲む遊牧民(モンゴル人やマサイ族)の62%が乳糖不耐症です。当然、遊牧民の中で牛乳を飲んで下痢する方はいません。

 

牛乳を飲んで、下痢したり腹痛を起こすのは【乳糖不耐症】が原因ではありません。【腸内環境】や【牛乳の品質】が大きく関係しています。

腸内環境が悪化することにより、乳糖を分解する酵素の活性が低下します。

腸内環境が悪化する原因は様々です。
主に抗生物質や食物繊維不足、甲状腺機能低下、ストレスなどが関係します。

これは一つの例です↓

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乳糖不耐症はアジア人に多いのは間違いないですが、後天的になる方も多いです。
そして牛乳の質や処理方法の影響も大きいです。(後述します)

乳糖不耐症だからといって牛乳が飲めなくなるわけではありません。
日本人の95%は乳糖不耐症なのに飲める人と飲めない人がいることや、遊牧民が大量に飲んでも問題とならないことが答えです。

 

カルシウム・マグネシウムバランス

この比率はなるべく【1:1】が良いと報告されています。カルシウムの比率が高くなればなるほど、脳卒中や心臓病のリスクが上昇する報告もあります。1〜3)

牛乳は【10:1】の割合のため、バランスが悪いから飲んではいけないと言われています。

 

確かに牛乳を飲むすぎることでバランスを崩してしまう可能性があります。そのため量を適切にすることが重要だと考えています。飲んではいけないと言うことにはなりません。

基本、牛乳に限らず乳製品はカルシウムの方が多くなります。しかし乳製品だけを食べて生活するわけではありません。ご飯や芋、果物、大麦などの炭水化物や肉、卵、魚、野菜を満遍なく食べるはずです。

マグネシウムはのり、ひじき、わかめなどの海藻類や玄米、大麦、芋系、果物、大豆系、野菜、キノコ、魚などに多く含まれています。これらの多くはカルシウムよりマグネシウムの含有量が多いです。

 

バランスの良い食生活を送っている方は、毎食コップ1杯程度の牛乳ではバランスは悪くならないのでご安心ください。

しかし毎日牛乳を多量に飲み、マグネシウムを含んだ食材を摂らない生活ではデメリットの方が多い場合がありますのでご注意ください。

 

リンの過剰摂取

「牛乳はリンが多いから飲んではいけない」と書籍で書かれていることがあります。

では牛乳のリンはどのくらい入っているでしょう?

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牛乳200mlにリン191mg入っています。

牛乳はリンが多いとよく言われますが、肉や魚はそれ以上多く入っています。
例えば、牛肉200gでは340mg、豚肉200gでは320mg、マグロ赤身200gでは540mgです。

 

牛乳だけ突出してリンが多いことはありません。そしてリンはカルシウムとのバランスが重要です。牛乳はリンとカルシウムバランスは【1:1】ですので悪くありません。

12〜17歳の男性のリンの摂取目安量は1200mg /日ですので、毎食コップ1杯分の牛乳は特に問題となりません。

 

牛乳は本来ヒトが飲むようにできていない。子牛のためのものだ。

この言葉を聞いたことある方いますか?
これを聞いたとき私は意味がわかりませんでした。笑

ヒトに食べられるために存在している物なんてこの世にありません。

豚や牛、魚、米、キノコ、野菜など。ヒトに食べられようと存在している物はありません。食べられないように、生き延びるように日々進化しています。野菜の抗栄養素が良い例だと思います。ヒトに対して毒性を発揮するものを備えることで身を守ろうとしています。

結論、牛乳は子供を育てるためにあるものですがヒトが食べてはいけないことにはなりません。

IGF-1が多い

IGF-1とはインスリン様成長因子とも呼ばれています。

成長を促す作用があり成長期にはとても重要な物質ですが、癌なども成長させる恐れがあると報告されています。※様々な癌患者でこの数値が上昇している報告があります。

牛乳が悪いと言われているのも、牛乳の消費量が多いほどIGF-1の濃度が高いと報告されているからです。4)

 

ではどのくらい数値が高かったのでしょうか?

牛乳を飲んでいるグループはIGF-1が【13.8ng/ml】高かったと報告されています。
ちなみに20歳男性のIGF-1基準値は【142〜470ng/ml】

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わずかしか上昇していませんね(^_^;)
もちろん牛乳によりIGF-1が上昇したことで、疾患と関連している報告は一つもありません。

そしてこれらの研究は全て海外の研究です。海外の牛乳は混ぜ物があったり、成長ホルモン剤を使用していたり、飼育方法・飼料が劣悪だったりするので日本の牛乳でも同じ様にIGF-1が上昇するかは謎です。

結論として、IGF-1はそこまで上昇しません。上昇したとしても飲んだ直後だけです。ほぼ問題ないレベルであると厚生労働省も複数の研究から導き出しています。

 

エストロゲンの影響

次にエストロゲンです。エストロゲンは別名女性ホルモンとも言います。

妊娠中にエストロゲンの数値が非常に高くなります。

日本の乳牛は出産してから3ヶ月後に妊娠をさせるのが多いようなので、妊娠牛から牛乳を絞ることになります。
妊娠牛から絞った牛乳はエストロゲン濃度が高いことが報告されているため、牛乳は身体に良くないと言われています。

エストロゲンを多く摂りすぎると、代謝低下や子宮の病気などにも繋がることが報告されています。

牛乳に含まれているエストロゲンがヒトにも影響するほどの量が含まれているのか調べてみました。

 

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この2つの報告では、

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30歳女性50kg、血液量が3.8ℓ(体重の1/13)、排卵期で血中エストロゲンが300pg/mlと仮定した場合
(エストロゲン(E2)基準値(女性排卵期):57〜509pg/ml)

血中には1140000pgものエストロゲンが存在します。

牛乳コップ3杯のエストロゲンはわずか7200pg程度です。

300→301.8pg/ml(たった1.8pgの上昇)しかありません。基準値から考えて、ごく僅かにしか上昇しないことがわかりますね。

 

実際にストレスを感じた時や、イソフラボン(大豆製品)を食べた時の方がエストロゲンの数値は急上昇します。

牛乳のエストロゲンの上昇はごくわずかですし、しかも肝臓で濾過されてさらに少なくなることが予想されるので気にすることはありません。
※ただ生理痛がひどい女性の場合は避けた方がいい場合もあります。月経過多はエストロゲン優位で起こります。

 

ホモジナイズ・超高温殺菌、カゼインの影響

まず聞いたことがない方が多いと思うので、ホモジナイズについて説明します。

ホモジナイズとは、脂肪球を小さくし消化を良くします。乳脂肪の浮上を抑える目的で行います。
ホモジナイズしていないものを、ノンホモジナイズと言います。

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超高温殺菌とは、その言葉通り超高温で殺菌します。ほとんどの牛乳が120℃で2〜3秒の超高温殺菌されています。60℃前後で30分殺菌する低温殺菌牛乳もあります。

この2つは大量生産やコストダウンのために必要不可欠の技術です。しかし、デメリットもあります。

 

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脂質が酸化されやすくなったり、タンパク質(カゼイン)の変性が起こります。カゼインがアレルギー源になってしまうことにも関係しています。

本来はカゼインは胃で固まり、胃の通過速度をコントロールしてくれます。しかし熱変性することで生理活性が変わり、胃の通過速度の速くなり腸内pHの変化や下痢・アレルギーなどの原因となる可能性があります。

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ホモジナイズ・超高温殺菌されることでタンパク質(カゼイン)が変性し、牛乳本来の生理活性が失われて下痢やアレルギーを引き起こす可能性があります。

もし牛乳を飲んで下痢しやすい、アレルギー症状が出るなどがある場合は、牛乳の質や加工に問題がある可能性があります。

ノンホモジナイズ・低温殺菌牛乳では症状が出ないことも多いです。

1日に3ℓ以上牛乳を飲む遊牧民族

遊牧民は62%乳糖不耐症であると報告されています。
しかし、牛乳を飲んで下痢や腹痛を起こす人はいません。

そして心筋梗塞や動脈硬化も少ないことがわかっています。5~7)

まとめ

牛乳の善悪論は簡単に判断できません。

胃腸機能が悪く、下痢や腹痛を起こしてしまう方は避けるべきです。マグネシウムをあまり食べない生活の方も控えた方がいいです。

しかし牛乳は栄養豊富であり、現代人に不足しているビタミン・ミネラル・良質な脂質を摂取することができます。
質の良い牛乳を適量飲むことで恩恵を多く受けることができます。

飲んでも問題ない方は安心して飲んでください。ただ飲み過ぎには注意しましょう。

牛乳の選び方

①ノンホモジナイズ、低温殺菌
②飼料がNon-GMO,牧草を食べている
③放牧されている
④東北・関東は避ける

を選ぶようにしましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました(^ ^)

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引用文献・参考文献

1)VARO,P.:Int.J.Vit.Nutr.Res.44:267-273,1974
2)BMJ Open.2013;3(2):e002111
3)Atherosclerosis.2012 Apr;221(2):587-95
4)Int J Food Sci Nutr. 2009;60 Suppl 7:330-40.
5)Journal of Atherosclerosis Research Volume 4, Issue 4, 8 July 1964, Pages 289-312
6)Lancet,Dec 25,1965;2(7426):1308-1310
7)American Journal of Epidemiology,Jan,1972;95(1):26-37